ゆとりたいむ

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暗めのファンタジー好きにおすすめ!「恒川光太郎」小説8選

ハロー、ゆとりのひとです。

僕をダークサイドに引き込んだ小説「ダレン・シャン」。
あの時の衝撃を超える作品にはなかなか出会えず。

しかし数年前、ふと立ち寄った本屋さんで「これはスゴイ・・・」と運命を感じた作品を見つけました。




⚪︎怖くて奇妙で美しい。恒川光太郎の描き出す世界。

作品の魅力は、なんといってもその独特な世界観にあります。現実からかけ離れているのに身近に感じる不思議。ホラーなのに爽やかで、読んだ人にしかわからない感覚が癖になります。

今回は、幻想的な世界を描く作家「恒川光太郎」さんの小説をご紹介します。 僕のおすすめを選んだので気になったら読んでみてね。
(※各作品の概要をAmazon商品説明より引用しています)



夜市


夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)


妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。



作者のデビュー作で、2005年の「第12回日本ホラー小説大賞」大賞を受賞。恒川光太郎を代表する作品ですね。

夜市風の古道の二編が収録。

夜市」は弟と引き換えに才能を買った主人公が、弟を取り戻すために夜市を訪れるお話。
風の古道」は古道という不思議な場所に入り込んでしまった主人公の話です。


幻想ホラーというジャンルを切り開いた作品ではないでしょうか。 叙述的で無駄のない文章が、読者に色鮮やかな幻想風景を魅せてくれます。

どちらも傑作ですが、僕は日本の神隠しのような恐さがある「風の古道」の方が好きです。雰囲気だけでは終わらない構成も素晴らしい。


身近に存在していそうな面白さと、空間に引き込まれる恐怖を味わうことができる一作です。


南の子供が夜いくところ


南の子供が夜いくところ (角川ホラー文庫)

南の子供が夜いくところ (角川ホラー文庫)


からくも一家心中の運命から逃れた少年・タカシ。辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。野原で半分植物のような姿になってまどろみつづける元海賊。果実のような頭部を持つ人間が住む町。十字路にたつピンクの廟に祀られた魔神に、呪われた少年。魔法が当たり前に存在する土地でタカシが目にしたものは――。


連作の短編集。
南国の島々を舞台にした不思議なお話です。

表題作である「南の子供が夜いくところ」を始め「紫焔樹の島」「十字路のピンクの廟」「雲の眠る海」「蛸猟師」「まどろみのティエルさん」「夜の果樹園」合わせて7本で構成されています。

今作では「ユナ」と呼ばれる謎の呪術師の物語と「タカシ」の体験を中心に、南の島々で繰り広げられる不思議な出来事を描いています。

僕のおすすめは「夜の果樹園」。
バスで寝過ごして、降りたら果物人間が住む世界だった・・・(イミワカンナイ!)

「夜市」とは違う民話的な気味悪さが続きます。

様々な世界に触れるので、読み終わったときは長い冒険をしてきたような感覚に。変わった話をたくさん読みたい人におすすめです。


雷の季節の終わりに


雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)

雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)


現世から隠れて存在する異世界・穏(おん)で暮らすみなしごの少年・賢也。穏には、春夏秋冬のほかにもうひとつ、雷季と呼ばれる季節があった――。



この作者の作品はほぼ短編集なんですが、「雷の季節の終わりに」は珍しく長編。

と呼ばれる、現世の外にある場所での暮らしが細かく描かれ、冒険へと繋がる壮大な和のファンタジー

例によって退廃的な雰囲気が続きますが、この作品には「風わいわい」という恒川ワールド随一のゆるキャラが登場します!癒されたい方におすすめです。


余談ですが、先ほど紹介した「南の子供が夜いくところ」には穏の出身だという人物が登場しています。

また、恩田陸さんの小説シリーズである「常野物語」は設定や雰囲気などが似ており、とても面白い作品なので興味があればチェックしてみてくださいね!

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)

光の帝国―常野物語 (集英社文庫)




月夜の島渡り


月夜の島渡り (角川ホラー文庫)

月夜の島渡り (角川ホラー文庫)


鳴り響く胡弓の音色は死者を、ヨマブリを、呼び寄せる―。願いを叶えてくれる魔物の隠れ家に忍び込む子供たち。人を殺めた男が遭遇した、無人島の洞窟に潜む謎の軟体動物。小さなパーラーで働く不気味な女たち。深夜に走るお化け電車と女の人生。集落の祭りの夜に現れる予言者。転生を繰り返す女が垣間見た数奇な琉球の歴史。美しい海と島々を擁する沖縄が、しだいに“異界”へと変容してゆく。



作者が沖縄在住なこともあり、琉球の伝承や民話が反映された作品。沖縄を舞台として「弥勒節」「クームン」「ニョラ穴」「夜のパーラー」「幻灯電車」「月夜の夢の、帰り道」「私はフーイー」の7本で構成される短編集です。

謎めいた雰囲気により怖さがアップしました。

登場する怪物は琉球特有の謎めいた空気感を漂わせており、とても新鮮です。話には文化や歴史が織り込まれていてリアリティが出ているので、人間の怖さがよく表現されています。


個人的には夜市に並び大好きな一作ですが、人によって好き嫌いが分かれる作品だと思います。 沖縄特有の神秘さを感じたい人におすすめです。

※「私はフーイー」という単行本を文庫化したものです。ダブりに注意。


金色の獣、彼方に向かう


金色の獣、彼方に向かう (双葉文庫)

金色の獣、彼方に向かう (双葉文庫)


樹海に抱かれた村で暮らす大輝は、ある日、金色の毛をした不思議な生き物と出合う。ルークと名付けて飼い始めるが、次第に大輝の体に異変が起きてきて……。


それぞれが独立した4話からなる短編集です。

「異神千夜」はまるで歴史小説。蒙古襲来の時代に日本人ながら蒙古軍として博多に潜入し、本隊の撤退と共に取り残された主人公一行を、邪神に仕える巫女が徐々に支配していって…。


日本に渡来した一匹の幻獣に関わった人々について描かれます。
どこか悲哀さを感じる「風天功参り」や怪異の視点から世界を描く「森の神、夢に還る」、表題作「金色の獣、彼方に向かう」まで。

各地の伝説を交えながら綴られる、幻想的で奥深いファンタジーとなっています。


秋の牢獄


秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)


十一月七日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。何をしても、どこに行っても、朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。悪夢のような日々の中、藍は自分と同じ「リプレイヤー」の隆一に出会うが…。世界は確実に変質した。この繰り返しに終わりは来るのか。


3作の短編集です。

秋の牢獄」は時間に囚われてしまった人たちの話で、SFのような設定を上手く落とし込んでいます。 ループなど時間を扱った作品に西澤保彦「七回死んだ男」や筒井康隆の「時をかける少女」などがありますが。どの作品も状況を打開することをメインに置いています。対して「秋の牢獄」では繰り返しの中で生きる人の心の動きを中心に描いており、そういった部分にも作者らしさを見て取れますね。

神家没落」はふと入った家から出れなくなってしまった男の話。
幻は夜に成長する」は不思議な能力によって組織に囚われの身となった女性を描くホラーです。

3作とも何かしらに「囚われ」ていて、ノスタルジックで哲学を感じるファンタジーです。

作者のアイディアが光る傑作で、僕のお気に入りです。 この作品も是非一度読んでいただければと思います。


竜が最後に帰る場所

竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)

竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)


しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。降りしきる雪の中、その集団に加わったぼくは、過去と現在を取り換えることになった―(「夜行の冬」)。古く湿った漁村から大都市の片隅、古代の南の島へと予想外の展開を繰り広げながら飛翔する五つの物語。


幻想の描き手が紡ぐ、独立した5つの物語からなる短編集。
恒川作品の中では一番堅実なファンタジーです。


風を放つ」「迷走のオルネラ」では、これまでような怪奇さはなく、薄暗い雰囲気の中で淡々とした話が展開されます。

夜行の冬」は世界線を越えて真夜中を歩き続ける集団の、少し不気味な話です。今作では唯一いつもの恒川さんらしい作品だといえます。

鸚鵡幻想曲」は本作で一番の傑作と言えるかもしれません。生物が集まり日常のあらゆる「物」に擬装しているという話で、ホラーなのに結末が素晴らしく、気持ちの良い話です。

壮大な世界観で描かれる「ゴロンド」も必見です。


草 祭 (くさ まつり)

草祭 (新潮文庫)

草祭 (新潮文庫)


たとえば、苔むして古びた水路の先、住宅街にひしめく路地のつきあたり。理由も分らずたどりつく、この世界のひとつ奥にある美しい町“美奥”。母親から無理心中を強いられた少年、いじめの標的にされた少女、壮絶な結婚生活の終焉をむかえた女…。ふとした瞬間迷い込み、その土地に染みこんだ深い因果に触れた者だけが知る、生きる不思議、死ぬ不思議。神妙な命の流転を描く、圧倒的傑作。


美奥」という架空の土地にまつわる短編集です。

どこか北欧の民話を思わせる、5つの物語が展開されます。

個人的には、恒川さんらしい怪しさの中に「美しさ」を感じさせる作風がお気に入りです。俗世から解放され、自然の中で爽快感を味わいたい方におすすめです。

内容とは関係ありませんが、恒川作品の中で今作の表紙のイラストが一番好きです。


いかがでしたか?

知ってる人は知っている!少しだけマイナーな作家・恒川光太郎さんの小説を紹介させていただきました。

一冊でもしっくり来た人は、かなり楽しめるんじゃないかなぁと思います。 僕も現在読み返している最中なので、終わり次第また更新していこうと思います。

これを機に、「恒川光太郎作品」を知っていただければ幸いです。
幻想の世界が、あなたを待っていることでしょう。


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